人生には様々な場面がありますが、その中でも最もデリケートで複雑なのが、親しい人が亡くなったときに遺された財産をどのように分割するかを決める「遺産分割協議」です。遺産分割協議は繊細な問題であり、適切な対応がなければ家族間の争いに発展することもあります。しかし、遺産分割協議の進め方や注意点を理解しておけば、スムーズに遺産を分割することが可能になります。この記事では、遺産分割協議の基本的な知識から具体的な進め方、問題が生じた場合の対策まで、遺産分割協議についての概要を解説します。適切に遺産分割協議を進め、争いを未然に防ぐための知識を身につけてください。
遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、故人が残した財産をどのように相続人間で分けるかを決めるための協議です。
1-1. 遺産分割協議の目的と重要性
遺産分割協議の目的は、相続人が円滑かつ公正に遺産を分割することです。これにより、相続による家族間の争いや法的な問題を未然に防ぐことができます。遺産分割協議が適切に行われることで、相続人全員が納得のいく遺産分けが可能になります。
1-2. 遺産分割協議の参加者
遺産分割協議の参加者は主に遺産を相続する予定の人々、つまり相続人です。そして遺産分割当事者のうち一人でも参加しない者がいた場合、その遺産分割協議は無効となります。また、場合によっては遺言執行人や専門家(弁護士や司法書士など)が参加することもあります。
遺産分割協議の手順
2-1. 遺産の確認
遺産分割協議を開始する前に、まず遺産の内容と範囲を把握する必要があります。これには不動産、預金、株式、個人事業や企業への出資など、故人が所有していたすべての財産と借金を確認します。
遺産(いさん)とは、
遺産|ウィキペディア(Wikipedia)
- 死後に遺(のこ)した財産。人が死亡時に所有していた財産。所有権や債権だけでなく、負債も含む
2-2. 遺産の評価
遺産の内容が確認できたら、次にその価値を評価します。遺産分割では、相続人全員の同意により財産の評価方法も価格も自由に定めることができます。また専門家の意見を求めることもあります。
2-3. 遺産分割の協議
遺産の内容と価値が明らかになったら、相続人間で遺産の分割方法について協議を始めます。
遺産分割の方法は現物分割、代償分割、換価分割、共有分割があります。詳細についてはここでは割愛させて頂きます。
2-4. 遺産分割協議書の作成
具体的な分割方法について合意が得られたら、その内容を「遺産分割協議書」に記載します。遺産分割協議書は法的な効力を持つ重要な文書なので、記載内容に誤りがないように注意が必要です。
遺産分割協議で起こりえる問題とその対策
3-1. 合意が得られない場合
相続人間で意見が合わない場合、遺産分割協議は進行しません。このような場合、第三者である調停者(家庭裁判所による遺産分割の調停)を入れ、進めていくことも可能です。
3-2. 遺産の内容が不明な場合
遺産の内容が不明な場合や、全財産の把握が難しい場合は、専門家の意見を求めることが有効です。また、金融機関等に問い合わせることで故人の資産を調査することも可能です。
3-3. 遺産が借金を超える場合
遺産が借金を超える場合、すなわち負の遺産の場合、法律は相続放棄を可能としています。この手続きは、相続が開始されたことを知ってから3カ月以内に行わなければならないので注意が必要です。
相続放棄(そうぞくほうき)とは、
・民法上の概念、用語の一つであり、相続人が遺産の相続を放棄することでありプラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないことである。被相続人の負債が多いなど相続に魅力が感じられないケースや、家業の経営を安定させるために後継者以外の兄弟姉妹が相続を辞退するときなどに使われる。なお、相続人であることを本人が知った日より3か月以内に限定承認又は相続放棄のどちらかを選択しなかった相続人は(家庭裁判所に期間の伸長を申し出なければ)単純承認とみなされる(民法915条1項、921条2号)
相続放棄|ウィキペディア(wikipedia)
余談ですが相続放棄は戸籍に記載されません。そのため各相続人が相続放棄をしたかどうかについては被相続人の最後の住所地を管轄とする家庭裁判所に照会し確認をする必要があります。
3-4. 遺産分割協議書の作成について
遺産分割協議がまとまったら、その内容を遺産分割協議書にまとめます。ここで間違いがあると法的トラブルを招く可能性があるので、弁護士、司法書士等の専門家に依頼することをおすすめします。
以上が、遺産分割協議のおおまかな説明となります。具体的な手続きや問題については専門家に相談することをおすすめします。紹介をご希望でしたら知り合いの弁護士、司法書士を紹介させて頂きます。
また、相続税の申告期限・納税期限は原則として相続の開始を知った日から10か月以内に行う必要があります。そして上述のように相続開始から3か月以内に相続するかどうか(相続放棄するかどうか?)の意思決定、相続開始日から4か月以内に所得税の準確定申告(例えば納税者(被相続人)が年の途中で死亡した場合→死亡した年の準確定申告etc)の手続きを行う必要がありますので、極力早め早めに遺産分割協議を行った方が良いと思います。
また不動産取引などでもまだまだ印鑑を押す慣習がありますので映える(見栄えの良い)印鑑を一つ作っておくことをお勧め致します😃
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