不動産を売却する際、その価値をどのように評価すれば良いのか。これは不動産売却を考えるすべての人にとって重要な問いです。不動産の価値を評価する方法はいくつかありますが、その中で用いられるのが「原価法」、「取引事例比較法」、「収益還元法」の3つです。これらの評価方法を理解し、適切に活用することで、不動産の適正な価値を把握し、適切な売却価格を設定することが可能となります。今回は、これらの評価方法について解説し、収益還元法については、表面利回りを用いた具体的な計算方法を例示しながら説明します。不動産売却を考えている方、または不動産投資に興味がある方などは、この記事で一緒に学んでいきましょう!
不動産売却時の評価方法
1-1. 原価法
原価法は、類似の建物の標準的な建築単価から再調達原価を求め、減価要因を検討したうえで算出する方法です。(積算価格)
原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の価格を求める手法であり(この手法による価格を積算価格という)、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効である(対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる)。なお、対象不動産が土地のみである場合においては、一般的に再調達原価を適切に求めることが困難なためにこの手法の適用が困難とされるが、再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができるものとされる。
原価法|ウィキペディア(Wikipedia)
再調達原価とは、対象不動産を価格時点(不動産の価格判定の基準日をいう)において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう。建設請負により、請負者が発注者に対して直ちに使用可能な状態で引き渡す通常の場合を想定し、発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求めるものとされている。
再調達原価|ウィキペディア(Wikipedia)
1-2. 取引事例比較法
取引事例比較法は、同じような条件の不動産の過去の取引価格を比較し、その価格を基に評価する方法です。具体的な地域や建物の条件(築年数、建物の大きさ、設備等)を考慮に入れ、同じような物件がどの程度の価格で取引されているかを調査します。(比準価格)
「多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める」「近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である」
比準価格|ウィキペディア(Wikipedia)
なお、この手法により求められた価格は、比準価格と呼ばれる。
1-3. 収益還元法
収益還元法は、不動産から得られる将来の収益を現在価値に換算することで不動産の価値を評価する方法です。賃貸物件など収益性のある不動産の評価に適しています。将来得られる賃料収入を現在価値に戻す際には、表面利回りを用いることが一般的です。
収益還元法の具体的な計算方法
2-1. 表面利回りの定義と計算方法
表面利回りは、不動産投資の収益性を評価する指標の一つで、年間の賃料収入を物件価格で割ったものです。(不動産投資の初年度の収益性を示す指標として使われたりします。)
具体的には、以下の式で表されます。
表面利回り = (年間賃料収入 / 購入価格) x 100
この利回りは「表面的な」ものであるため「表面利回り」と呼ばれています。これは、物件の経費(管理費、修繕費、固定資産税など)やローンの返済などを考慮しない利益を示しているからです。
したがって、投資判断の際には表面利回りだけでなく、経費を差し引いた実質的な利回り(実質利回り)や、将来の収益や価格変動の可能性にも配慮した収益還元法による算出結果なども一緒に考慮したるすることも重要です。
具体例としては、物件価格が1億円で年間の賃料収入が500万円とする場合、表面利回りは500万円÷1億円=0.05(5%)となります。
2-2. 表面利回りを用いた収益還元法の計算例
収益還元法では、将来得られる賃料収入を現在価値に戻すために表面利回りを用います。例えば、年間の賃料収入が500万円で表面利回りが5%とする場合、物件価格は500万円÷0.05=1億円と評価されます。
2-3. 収益還元法の利点と注意点
収益還元法の利点は、将来の収益性を評価できる点にあります。しかし、将来の賃料収入や表面利回りは予測に過ぎないため、市場環境の変化により実際の収益が予測と異なる場合があります。そのため、収益還元法による評価はあくまで一つの参考であり、原価法や取引事例比較法と併せて考慮したりすることも重要です。
まとめ
不動産の価値を評価する方法には、原価法、取引事例比較法、収益還元法の3つがあり、それぞれの方法は異なる視点から不動産の価値を評価します。原価法は類似の建物の標準的な建築単価から再調達原価を求め、減価要因を検討したうえで算出する方法です。取引事例比較法は同じような条件の不動産の過去の取引価格を比較し、その価格を基に評価する方法です、収益還元法は不動産から得られる将来の収益を現在価値に換算することで不動産の価値を評価する方法です。
特に収益還元法は、賃貸物件など収益性のある不動産の評価に適しています。表面利回りを用いて将来の賃料収入を現在価値に戻すことで、物件の価値を具体的に算出することができます。
しかし、収益還元法による評価は将来の収益予測に基づくため、市場環境の変化により実際の収益が予測と異なる可能性があります。また近隣地域の土地の租税その他の公課の増減や土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情による変動、近傍の同種の建物の借賃との比較などが影響する場合もあります。そのため、これらの評価方法は一つの参考であり、原価法や取引事例比較法と併せて考慮したりすることが重要です。その他、デベロッパーの投資採算性に着目した手法と言われ、土地の価格を求める手法の一つである開発法があります、ご興味があれば調べられてはいかがでしょうか。
不動産の評価は専門的な知識を必要としますので、不動産鑑定士に鑑定依頼されることをお勧め致します。また不動産売却の際においては賃貸用物件などの収益物件でない場合は、不動産業者の査定で済ます場合も見受けらます。また、課税における財産評価は別の方法で算定されておりますので留意して下さい。
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