「区分建物」という言葉を聞いたことがありますか?これはマンションやアパートなど、一棟の建物が複数の区分所有権の成立する専有部分(複数の所有者)に分けられている状態を指します。そして、この区分建物には「法定敷地」と「規約敷地」という、一見似て非なる二つの敷地形態が存在します。これらの違いを理解することは、区分建物を購入する際や、既に所有している方にとても重要な知識となります。この記事では、区分建物とその敷地形態について解説します。これから区分建物を購入しようと考えている方、既に所有しているが敷地形態の違いがよくわからないという方は、ぜひ参考にしてください。
区分建物とは
1-1. 区分建物の定義
区分建物とは、一棟の建物が複数の区分所有権の成立する部分(専有部分)に分けられている状態を指します。具体的には、マンションやアパートなどの集合住宅がこれに該当します。各所有者は、自分が所有する部分(専有部分)と共用部分を併せて所有します。
区分所有権の成立要件は下記の2つです。
・構造上の独立性:天井、壁、床、扉などにより他の部分から遮断され区画されていること。
・利用上の独立性:建物のその部分だけで通常の1戸の住居や事務所などの利用ができるものであること。
1-2. 区分建物の特徴
区分建物の特徴は、一棟の建物が複数の所有者に所持され、それぞれが専有部分と共用部分を所有する点です。専有部分は、各所有者が自由に利用できる部分で、主に自分の住居となる部分です。一方、共用部分は、エントランス、廊下、エレベーター、駐車場など、所有者全員又は一部の所有者で共有する部分を指します。
1-3. 区分建物の取得方法
区分建物の取得方法は、新築のマンションを購入する場合、既存のマンションの一部(一室や一フロア)を購入する場合などがあります。購入する際には、専有部分だけでなく共用部分の所有権も一部取得することになります。
次に、法定敷地と規約敷地について見ていきましょう。
法定敷地と規約敷地の違い
2-1. 法定敷地の定義と特徴
法定敷地とは、建物の所在する底地の土地のことを指します。(従って建物が存在する土地はなんら手続きなしに法定敷地とされます。)この法定敷地は、建物の敷地全体(一筆)を指し、原則として専有部分の所有者全員が所有権などの敷地利用権として規約で定められた持ち分を所有することとなり、専有部分(マンションの一室部分)の所有権と登記された敷地利用権(所有権・地上権・賃借権)は敷地権として登記され公示されることとなり、以後専有部分と敷地利用権(敷地権)は分離処分が禁止されます。(例外的に分離処分を可能とすることもできます。)
2-2. 規約敷地の定義と特徴
一方、規約敷地とは、法定敷地と一体的に利用する土地(多少建物と離れた場所でもOK)をマンション管理規約により規約敷地と定め住民が利用できるようにしたものを指します。規約敷地は、例えば、駐車場や庭などとして利用することが多いです。規約敷地の利用は、その部分を利用する権利を持つ所有者が単独利用できますが、その利用は管理規約により制限されます。規約敷地の登記された利用権も法定敷地と同様に敷地権となり専有部分と一体利用が義務付けられ分離処分が禁止されます。
2-3. 法定敷地と規約敷地の違い
法定敷地は建物の底地となりますので原則としてその処分は建物の存続期間に左右されることとなりますが、規約敷地についてはマンションの総会の決議などにより規約敷地から外すことができます。規約敷地でなくなった土地については売却等が可能となります。通常マンション分譲時には原始取得者となる分譲業者が管理規約を設定し、規約敷地、敷地権の割合などを定めております。
区分所有法においては、一棟の建物は、専有部分か共用部分のいずれかに区分される。専有部分、共用部分、これらを含む一棟の建物を総称して区分所有建物(くぶんしょゆうたてもの)という。日本の場合、区分所有建物の用途は、住宅専用又は住宅部分と店舗部分が併存するものが多くを占める。専有部分の所有者を区分所有者といい、区分所有者は特定の専有部分を共有することもできる。
区分所有建物|ウィキペディア(wikipedia)
まとめ
この記事では、区分建物とその敷地形態である法定敷地と規約敷地について解説しました。区分建物は、一棟の建物が複数の区分所有権の目的となる専有部分に分けられ、専有部分と共用部分を一体的に所有及び利用する形態を指します。そして、区分建物の敷地についての利用の形態が法定敷地と規約敷地です。
法定敷地は、原則として全所有者が専有部分の床面積の割合で共有する土地です。一方、規約敷地は、規約により定められその利用は管理規約により制限されます。(所有者の権利としては一般的に法定敷地も規約敷地も管理規約により敷地利用権(敷地権)の割合として定められることが多いです。)
これらの違いを理解することは、区分建物を購入する際や、既に所有している方にとっても重要な知識となります。区分建物を所有することは、自分だけの空間を持つだけでなく、共用部分を利用することで生活がより便利になるメリットがあります。しかし、その一方で、共用部分の管理や利用には注意が必要です。この記事が、区分建物の理解とその適切な利用に役立つことを願っています。
コメント